中国系通販サイトで買い物したので、その経過をまとめてみました。誰かの参考になることを願って。
1. ワシントン条約(CITES)
本物の骨や剥製を買う場合には違法にならないように気を付けなくてはいけない。
簡単に買えるもので気を付けなくてはいけないのは、ワニ・出自のハッキリしないダチョウ。
2. 淘宝網
まず欲しいものを探す。DeepLとかで中国語の単語を作っても良いけど、大抵は普通に日本語の漢字を入れればヒットする。僕はgoogle chromeの翻訳をかけながらサイト閲覧をした。
今回買い物をしたのは以下、2つの業者。
2. 1. 透视界标本
頭骨の3D印刷物。なのでCITESは無関係(経産省にも確認した)。
CTデータが元になっているので、骨要素そのものの形はちゃんとしてる。脳函内もちゃんとモデリングされてる。少し透ける素材なので、光の当て具合で蝸牛なども見える。
組立は人の手で行われてるので、完全には信用してはいけない部分もある。例えば、ヘビの耳小柱(2弓要素)が翼状骨(1弓要素)の頭側から飛び出てたりする。
材質は光硬化性樹脂なので印刷解像度も良い。顕微鏡などがあれば、各要素の縫合線もギリギリ見えたり見えなかったり。
しばしば顎は接着されていて外せない。樹脂は柔らかいので、歯や骨と同じノリで力をかけると簡単に割れる。ということで、関節の動きを試したりはできないことも多々。
破損(後述; 2.3.参照)は実体双眼顕微鏡があれば十分に修復可能なレベルではある。この樹脂ではアロンアルファは使えないようだ。シリコン系だとちゃんと接着する。
右側奥から: 爬虫類
ガボンアダー (加蓬咝蝰, 1倍)
ジャクソンカメレオン (杰克森变色龙, 1倍)
アルマジロトカゲ(犰狳环尾蜥, 1倍)
ツノトカゲ属 (角蜥, 3倍?)
マタマタ (玛塔龟, 1倍)
オオアナコンダ (亚马逊森蚺, 1倍)
左側奥から: 哺乳類
マレーオオコウモリ (马来大狐蝠, 1倍)
襞面蝠 (?倍)
菊頭蝠科 (?倍)
小鼠尾蝠 (?倍)
ナミチスイコウモリ(吸血蝠, ?倍)
2.2. 自由的骨头
骨格標本。アマゾンやメルカリでこの業者のものと思しき商品を見かけるが、べらぼうに高くなっているのでそちらで買ってはいけない。
組み立てはとても簡単。
予想以上に作りが良い。感動している。流石に鶏の鋤骨は無くなっているが、舌骨や”涙骨”は付いている。簡単な形態学的思索も十分に可能。姿勢も自然なので、簡単なバイオメカニクス的思索も十分に可能。
どうしても輸送時に少し破損してしまうので、アロンアルファやシリコン系接着剤で修復する必要がある。
奥から
ニワトリ(鸡; 青い紐は僕自身による地震対策)
セキセイインコ(鹦鹉)
ラット(大白鼠, 2足歩行)
ラット(大白鼠, 4足歩行)
2.3.チャイナトレーディング(淘宝網専門の輸入代行業者)
http://daikou.china-trading.jp/
淘宝網で探してきた商品をここで注文した。
他にも淘宝網輸入代行業者はあるが、ここが業界最安値らしい。EMS便が半額になってるらしい。
一応検品をしてくれると謳っているけど、届いてみたら普通に破損してる。そして破片が別の動物の箱に戻されてたりする。販売ページと照らし合わせれば破損は一目瞭然ではあるけれど、骨格標本の破損は解剖学的知識がないとキツい部分もあるとも思うので、大目に見てあげるべきかなと思っている。何より、こちらとしては費用が安く済んでるし。ちなみに、「破損を回避する為、御社での検品は最小限に留めてください」とメモを残したら破損が減った。
関税手続きとかめんどくさそうで自分ではやりたくないし、費用も安いので、厳格なクレームをいれて「骨格標本取り扱い願い下げ」になっちゃっうのも勿体ないとも思うので、いろいろとナァナァにしとくのが良さそう。
発注が忘れられたこともあったので、随時マイページを確認しつつメールでせっつく必要があるかも。なので、心の広い人じゃないと利用してはいけない。
3. Wish
安い定番の頭骨は、多分ここが最安値。イヌ、ネコ、キツネ、ミンク、マスクラット、ヌートリア、などなど。日本水準に照らすとジャンク品クオリティになるものが多い気がする。
キツネとミンクに関しては、バラバラ全身骨格を売ってくれているところもあった。指骨,趾骨はどれがどの指だか僕には判らなかった。脱脂はあまりされていない。
業者はレビューなどを見て選ぶべし。
4. オマケ:国内取引の場合
こちらは環境省の管轄。種の保存法を参照のこと。
https://www.env.go.jp/nature/kisho/kisei/species/trade/
↑「種の保存法における規制対象一覧」というエクセルファイルで規制部位が検索できる。種によっては、皮はNGでも骨はOKだったりする。
5. わかりきっていること
実骨は情報量が多くてとても楽しい。
希少種・法的に難しい種に関しては、レプ販売がとても嬉しい。
小学校高学年以上の学生は、一度は必ず自分で骨格標本を作ってみよう。ニワトリ成体は廃鶏/親鶏という名前で安く売っているし、食用なので衛生面も安全で、パーツもシンプルでわかりやすいので、とても初心者向け。足(もみじ)や頭が切断されていないものを買おう。
個人輸入の際は、各自で法律をちゃんとチェックしよう。あなたの輸入に対して僕は責任を負いません。
海外サイトを利用する際は、(僕じゃなくて)グーグルが良い友達になってくれるよ。
改善点・問題点などにお気づきの方がいらっしゃいましたら、何卒ご指摘いただけますと幸いです。
他にもオススメの業者があったら教えてください。
とくに混沌の中にあるものはありません。
(追記:3D印刷物を墨で染めてみた)
スカルは縫合線や諸々の孔が読めてナンボみたいなとこがあります。真っ白な樹脂だとこれが見えにくいので、ガレキの墨入れみたいな感じを期待して希釈した墨汁に浸けてみました。
(アナコンダ:うまく染まらない, マタマタ:うまく染まった)
上手く墨が乗ると、縫合線や神経孔などがバッチリ見える。(マタマタ)
上手く墨が乗らない場合もある。もしかしたらはじめに濡らすと上手く乗らないのかも。
上手く墨が乗らないと煤汚れみたいな感じになるが、これはこれで「少しだけ脂でベタついてる標本に、100年間埃が吸着した感じ」に見えるので良い。(アナコンダ)
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